思いつくままに書かない、ということ

尊敬する人物とその理由を書くというお題で「沖田総司」を選んだH君。

ブレイン・ストーミングをした後、尊敬する理由について、かっこいい、つよい、病気で死んでかわいそうの3点をから書こうとしていた。

H君のブレイン・ストーミング

私が教える「5段落エッセイ」という作文の型には、1つの段落に1つの理由についての説明だけを書く、というルールがある。「かわいそう」について説明する段落を書いている途中、H君の筆が止まった。

私:どうしたの?
H君:「かわいそう」を別の理由に変える
私:どうして?
H君:こっち(やさしい、という理由)の方が書きやすい
私:どうして前のは書きにくいの?
H君:・・・(首をかしげる)
私:あ~、病気で死んだのがかわいそう、だと尊敬する理由っぽくないかもね。確かに、書きにくいかもね。

書きにくい理由を言葉にできなかったのは、ちょっと自信がなかったからなのか、どう伝えていいのがわからなかったからなのか、わからないけれど、沖田総司を尊敬する理由を説明するのに「かわいそう」だと何かおかしいと気づき、H君は「やさしい」という理由で再び書き直し始めた。

尊敬の理由かどうかはともかく、H君にとって、沖田総司について書くのに「強いのに、若くして病気で亡くなった」という事実はとてもインパクトのある話だったのだと思う。でも、思いついたことを、思いついたままに書くのではなく、H君は違和感を感じ、考え、書き直した。

文章を書く時、子ども達はつい、思いついたこと、書けそうなことから書いてしまいがち。「それは、伝えたいことをしっかり伝える書き方を習っていないのだから当然だ」というのが私の師匠の考えだ。作文教室はまだ始めたばかりだが、「書き方」を習うことで、“考えて書く”という徴候を見せてくれたH君に、私はとても勇気づけられた。

師匠曰く、「エッセイを書くことは考える力のトレーニング」。それは、こういうことなのだと思う。

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日時:毎月第1、第2月曜日、17時~18時半
場所:さくら坂スタジオ(宮前区宮崎2-7-21-101)
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